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近視矯正手術
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学会・論文発表

近視矯正手術について
参宮橋アイクリニック院長 奥山 公道

日本で生まれた近視矯正手術の原法近視手術の歴史を語るとき、順天堂大学の佐藤勉教授の功績を忘れてはなりません。愛国者であり、熱血の学者でもあった佐藤教授は、日本人に多い近視を克服する道として、1939年近視手術の開発に挑みました。
佐藤博士は円錐角膜を治療していて得たアイデアにより、角膜前後面にメスで切開を加え、角膜中央光学領域を扁平化させる近視矯正術を開発しました。
しかし、後面切開が長期経過的に角膜内皮細胞の減少を惹起し、水抱性角膜症の原因となり、本邦における近視手術に対しての保守的素地が形成されました。
旧ソ連で育った近視矯正手術1969年ソ連モスクワの顕微手術眼科研究所の所長、フィヨドロフ博士のもとに眼鏡を割って角膜を傷付けた少年が入院。ガラス破片を取り除き、3日目に包帯を取ると「見えるよ」と少年の叫び。それまで0.1 しかなかった視力が、視力表の一番下までくっきり見えるほど回復していたのです。この”奇跡”にフィヨドロフ博士は歴史に埋もれていた佐藤式を回想。その検証のため1969年動物実験をスタートさせ、失敗原因を究明したのです。そして角膜前面のみから切開すれば、安全な近視矯正が可能なことを発見。この前面切開法はRK(放射状角膜切開術)と名付けられました。1974 年、この歴史的な近視手術の成功は、世界の眼科医に衝撃を与えました。

近視とは?



近視は眼球が伸びるか、角膜がとんがることで光が網膜の手前で
像を結んでしまうために、ぼやけて見える状態です。


近視の矯正とは?



メガネやコンタクトレンズ、又は角膜を削って光の曲げ具合を弱め、網膜上で像を結ばせハッキリ見える様にします。


近視矯正手術(角膜を削る方法)について



熱を発生しないエキシマレーザーで削ります。
削る前にあらかじめ角膜の表面の上皮をこすり落とすPRKや、表面にカンナ掛けをして蓋を造って処理するレーシックという方法があります。また最近では直接レーザーのみによって削るスーパーPRKという方法も注目を集めています。

米国で広まった近視矯正手術RK開発のわずか2年後、アメリカのレオ・ボアース博士はソ連を訪ね、フィヨドロフ博士のもとで手術方法を学び、78年デトロイトでアメリカ初のRKを始めています。そしてRKの米国での普及のため「全米RK研究グループ」を作りました。そしてボアース医師以外に、A・ニューマン、W・エリス、R・マーマー医師等100名余りの米眼科医がフィョドロフ博士の門を叩きました。

今日、米国で年間50万例のLASIKをはじめとする屈折矯正手術が行われている現実は、RKによって培われたのです。
日本へ戻った近視矯正手術さえ、わが国初期の近視矯正手術RK(AK)は、桐生市、臨床眼科研究所の百瀬皓医師により、1981,10-2001,10の間に2897眼、次いで東京、参宮橋アイクリニックの若山久医師等により1983,8〜2001,10の間に8546眼が相次いで実施されました。21世紀に入り、我国の眼科屈折矯正分野の発展は急展開しました。厚生省がPRK機器を認可し、専門医の会「ISQOV」が木下茂教授のもとに発足しました。

手術の種類と方法RK(AK)

方法:メスで角膜の表面を放射状に切開する。
費用 片眼150,000円程度
長所歴史もあり、軽度近視には今でも良い方法である。手術中の痛みがない。高価な機器を必要としない。角膜中央部は切らないのでコントラストがよい。

短所:手術後痛みが出る場合がある。回復視力の予測に少々難あり。
PRK方法 角膜表面を処理した後エキシマレーザーで削る。
費用 片眼 150,000円程度長所強度近視も治せる。手術時間が短く、5分で終わる。手術中の痛みはまったくない。安全性が極めて高く、100万例で失明の症例はゼロ。

短所:手術後痛みが出る場合がある。視力回復に時間がかかる場合がある。視力が安定するまでに時間がかかる場合がある。費用が高い。

レーシック(LASIK)・イントラレーシック方法 角膜表面にフラップ(フタ)を形成したのち角膜実質をエキシマレーザーで削り、フラップを戻す。

費用:片眼200,000円程度長所手術中の痛みはまったくない。中等度、強度近視、乱視も治すことができる。術後角膜混濁が少ない。両眼を同時に受けることができ、術後の翌日から日常生活ができる視力まで回復する。治療と目薬の点眼期間が短い(1ヶ月以内)。

短所:技術的に難しいフラップ(フタ)を作るので医師の豊富な手術経験による熟練が必要(レーシック)。
フェムトセカンドレーザーの対発癌性の安全が未確認(イントラレーシック)。ドライアイの合併症が現れることがある。フラップ(フタ)を作る場所が中心からずれていたり、フラップを戻す時に元の位置からずれていたり歪んだりして、乱視になることがある。フラップを作る為、角膜の床部分が薄くなる(角膜拡張症合併の可能性)。

スーパーPRK(ピーアールケー)
方法:角膜を削らずに、レーザー照射のみで整形する。

費用:150,000〜280,000円程度(近視の強さによる)長所角膜を切ったり、削ったりすることがないため、感染症のリスクが少ない。手術時間が短く、30秒で終わる。手術中の痛みはまったくない。中等度、強度近視、乱視の場合も治すことができる。93%以上の確率で希望する視力まで回復できる。整形するレンズ面が大きいので、グレアの頻度は少ない。

短所:視力が回復するまでの期間が3日間、視力の安定に1ヶ月程かかる。手術後、一時的に混濁することがある。時間と共に消失する。手術後の痛みが24〜48時間ある。ヘイズ対策のステロイド点眼薬の副作用で眼圧が上昇する場合があるが、通常は眼圧上昇を抑える点眼薬も一緒に使う。費用が高い。

養護教諭が生徒に相談された場合の対応

1) 18〜20歳まで、近視の進行が止まるまではメガネもしくはコンタクトレンズで様子を見るように御指導下さい。

2) 職業選択上、手術が18歳以前に必要な場合は専門医に相談するよう御指導下さい。

3) 手術を希望する場合は、1週間前からコンタクトレンズを外しておかないと、検査が不正確になる旨を御指摘下さい。

4) 近視レーザー手術で失明した事例はありませんが、感染症や一過性のヘイズと呼ばれる角膜混濁、ドライアイの合併等の報告があります。術前に執刀医と相談するよう御指導下さい。

5) 近視レーザー手術には、PRK、レーシック、レーセック、イントラレーシック、スーパーPRK等、各々に短所、長所があります。近視の程度、角膜の厚さ、手術前後の日程、格闘技に従事するか否かで選択が異なる旨を御指摘下さい。

6) 米国では年間100万人もの若者達が近視矯正手術を受けています。我国の屈折矯正手術専門医の実施する手術は、安全で効果的な方法ですが、再手術が必要な場合もあり、就職を前提とする場合はスケジュールに余裕を持たせてください

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